が、自分の側に置いて使い走りをさせたものだから、この道にどっぷりつかってしまった。そうなると、いくら頭がよくて優秀であっても、将来(さき)はたかだかしれている。

　しょせん悪党の片腕、なのだから。

「後悔している。おれがそいつの人生をめちゃくちゃにしたのだから。こういうことにならない為にも、事情や状況に巻き込むべきではない。情が移る前に、よそにやるべきなのだ」

　彼は、そう話を締めくくった。

「ボス、それは違います。おれは、本当に感謝しているのです。見捨てずに置いていただいたお蔭で、こんなおれでも一応いっぱしのことが出来ているのですから」

　そのとき、例の男性がいまにも泣きだしそうな表情で言った。