「ミヨ、おまえのことは知っているぞ」
「はい? あの……、知られるような何かとんでもないことをしでかしていましたか? ああ、たったいましでかしたことをのぞいてですが」

 なんてこと。大ボスがわたしのことを知っているなんて。

「ろくでなしのバイロンの姪っ子で、ろくでなし家族の借金返済の為に街で使い走りをしている。だろう? 健気だから、安全で簡単な使い走りを破格の賃金でやらせてやれ、と息のかかっている連中に命じていた」
「ああ……」

 それ一語しか出てこなかった。

 まさか悪の大元締めみずから、わたしの稼ぎのサポートをしてくれていただなんて。

 意外というよりかは、神の奇蹟だわ。