そのとき、テラス席へお客さんがやって来た。黒いジャケットと黒いズボンに身を包んだ集団で、一目見てヤバい人たちだということがわかる。お近づきになってはいけない人種の人たちである。

 その黒服集団の中央にいるのは、この王都では国王よりも有名で、ある意味では国王よりも力のある男である。

 それは、このホルスト王国のすべての悪の大元締めチャールズ・アンカーソン。通称「マーダー・チャーリー」と呼ばれる大悪党。

 以前、何度か見かけたことがある。

 彼は街ですごすことが多く、いまのようにカフェや食堂やバーによく行っている。だから、遭遇する可能性は充分ある。

 だけど、以前見かけたのは遠くばかりで、これだけ至近距離なのは初めて。