「茶も出んのか? 小腹もすいておる」

 時代遅れのカイゼル髭で、白髪まじりの髪は脂できちんとかためられている。テカテカ光る髪や髭に火でもつけたらずごく燃えそう。

「茶を淹れてきてくれ」

 バーナードがそう命じたのは、メイド役の三人ではなくわたしだった。

 なぜ? 公爵夫人のわたしが淹れるわけ?

 不満が顔に出てしまったらしい。