「エスコートしてもらいたいんだろう? わしがやってやろう」

 クレイグである。

「足は? もう大分といいようだな」
「お蔭様で。ありがとう、お義父(とう)様」

 せっかくなので、彼の腕に自分のそれを絡めた。

 コリンは、ノーラとヘンリーと三人で談笑しながら歩いている。

 うしろからその姿を見ると、父親と息子と娘というよりか年齢の離れた兄弟のように見える。

 わたしにもあんなにカッコよくて頼れる兄がいたら、もっと違う生き方をしていたのかしら。
 
 そうだとしたら、いまここにはいないわよね。

 そんなどうでもいいことを考えてしまう。