「ミヨ、彼の言う通りだ。きみたちはプロだ。他人(ひと)の詮索はしない。そういう暗黙の了解だ」

 バーナードに叱られてしまった。

 舌をペロリとだしてごまかしておいた。

 そのとき、義父役のクレイグ・カールトンがローテーブルを手のひらで「バン」、と音高く叩いた。

 その突然の音に、右側に座っている執事役のジェフ・チャンドラーと料理人役のカイル・クレイトンがビクリと震えた。

 クレイグは、彼らの間でエラそうに足を組んでいる。

 年齢は六十代前後といったところかしら。

 アッシュフィールド公爵家の前当主で、いまは悠々自適な隠居生活を送っているという設定である。

 一見しただけで、ただの頑固ジジイよね。