「きみの叔父さん叔母さんたちは、事情があって警察に連れて行かれた。従姉妹たちは、おそらく学校を卒業するまでは寄宿舎ですごすことになる。どうかな? きみさえよければここですごさないか? 昨夜、きみに話した通り、きみはいままで得られなかったものをこれから手に入れることが出来る。きみにはその資格があるからね。まずは家族だ。きみは敏いからすでに気がついていると思うが、おれたちはまだ家族ではない。いまのところは、だけど。ほんとうの意味での家族になれるのは、まだ先のことだ。きみもおれたちといっしょに家族になれるようがんばってみないか? もちろん、それはきみの自由意志だ。けっして強制するわけではない。もしも家に戻りたい、そこですごしたいというのならそれを尊重する。レッドメイン男爵邸をきれいにし、使用人や警備員を雇い、何不自由なくすごせるようにする。おれたちもここから様子を見守る。その選択肢もあるということを覚えておいてくれ。いずれにせよ、いますぐには屋敷に戻れない。ここでしばらくすごしてもらう。いますぐ答えが欲しいわけではない。おれたちとすごしてから決めてくれればいい。是非とも前向きに検討してもらいたい」