わたしの知る限り、新海くんはどの授業も真面目に受けている。
たぶん、わたしや他のクラスメートよりも先生の話をちゃんと聞いてる。
その姿を見ていれば、『学校始まって以来の不良』なんてウワサが誤解だと気付くはずなのに。先生たちは授業中に新海くんのことをほとんど当てないし、クラスメートたちは彼のほうに視線を向けない。
自然な黒やダークブラウンの髪色の子しかいない教室の中で、新海くんの金色の頭はよく目立つ。
目立つから、誰もが敢えて新海くんのほうを見ないように避けていて、誰も新海くんの本質には気付かない。
もったいないなー。
そう思いながら、わたしは残りの十五分間、新海くんの横顔をこっそりと眺めて過ごした。
授業が終わって英語の先生が教室を出ていくと、あちこちでガタガタと机や椅子を引き摺る音がし始め、教室の中が騒々しくなる。