火曜日は、天気予報どおり朝から雨だった。

「ニコちゃん、今日の昼休みはバド部の子達とお昼?」

 昼休み。新海くんが出て行ってから五分ほど時間を空けて教室を出ようとすると、アキナが声をかけてきた。

「うん。そう」

 わたしが頷くと、アキナが少し離れたところで待っているカノンにちらっと視線を向ける。

「わたしが口挟んでいいことかはわかんないけど、ちゃんとカノンと仲直りしなよ。ふたりのあいだで、わたし、今日は朝からすごい気まずい」

「ごめん。でも、あれは別にケンカとかじゃないから」

 昨日の昼休みに、新海くんのことでカノンと軽い口論になってから、わたしとカノン、アキナの三人の空気は気まずい。

 三人で一緒にいるし、お互いをムシしたりすることはないけど、カノンはわたしと目を合わせてくれない。わたしも、なんとなくカノンの顔を真っ直ぐ見れない。

「よくわかんないけど……。なんで、急に新海くんのことでケンカになっちゃったの? わたし達が普段関わるような人じゃないじゃん」

 アキナの言葉に、カバンを持つ手がビクッと震えた。