「っ、嫌!!」
「……こんな傷痕を隠してたの?」

 片手で服を持ったまま、もう片手でパパを払いのけようとすると、パパはその片手を掴んでポツリと呟く。

「え?」
「ごめんね、見られたくなかったよね。着替えはここに置いておくから、お風呂にゆっくり入っておいで」

 パパはすぐにわたしの手を離してバッグを側に置いてから、サッと脱衣所から出て行く。
 ただ出て行く瞬間、まるで自分が傷付いたように悲痛な顔をするパパがいた。
 パパからみたらこんな傷だらけのペットはいらないのかもしれない。……明日には孤児院に戻されるのかな?
 そんな事を考えながら、わたしはお風呂の準備を始めた。