パパが食器を洗っていると湯沸かし器から軽やかなメロディが流れ出した。

『お風呂が沸きました』
「愛子、先にお風呂に入っておいで」
「うん」

 わたしはリビングから脱衣場まで移動し、上着を脱いだ。下着から見える肌には痣や火傷痕がいくつも残っている。痣は色が薄くなっているが、ヒステリックな母が付けた煙草の痕は残り続けるだろう。わたしが体中の痕をぼーっと眺めていると、突然脱衣場の扉が開いた。