「いってらっしゃーい」


私は中学一年生。

今は六月。梅雨の季節。

ジメジメした湿気だらけの我が家で、今日も私は一人、ゴロゴロを満喫する。


「やっぱお家は最高だよ~もうずっと離れたくない」


バタンとお母さんが仕事に出かける音がして、それから夕方まではずっと一人。

夕方になったら、晩御飯の荷物を持ったお母さんが返ってくるけど……それまで、ずっと一人。自由時間。


「今日は何をしようかなぁ」


ソファにゴロンと横になって、スマホを触る。

ロック画面を外す、直前。真っ暗な画面に、髪が短い私の顔がハッキリと写った。


「……最悪」


ボソリと言った言葉は、誰にも聞かれない。静かな部屋に、一人きり。


「……少し、寝ようかな」


眠気があったわけじゃない。だけど何も考えたくなくて、私は静かに目を閉じる。

すると、夢を見た。

中学校に入学して、すぐの頃の夢だ。