「え、昨日のあの人が?」
さくらは、急いで屋敷に入ると、いきさつを祖父に話す。
「私、あの人に何か疑われているのかも…」
「そうかい?わしには、礼儀正しい僧侶に見えたがなあ」
「でも、用心した方がいいと思います。あの人、普通の人には見えないものが見えるって言ってました。桜の木は見えていないようだったけど、何かおかしいと感じているのかも…」
祖父は頷いた。
「分かった。またやって来るかもしれないから、林の様子をよく見ておこう。北斗にもあとで話しておかなければな」
さくらも、険しい表情で頷いた。
夕方になり、帰宅した北斗は、話を聞くなり驚いた声を上げる。
「え、その僧侶って、袈裟を着ていた?」
「ええ。北斗さん、会ったの?」
「いや、昨日車の中から見かけたんだ。今朝も、うちの近くにいた。単に寺巡りでもしているのかと思ったけど、そうじゃないのかもな」
そう言って、しばし考え込む。
「さくら、しばらくあの木に触れるのは控えた方がいいかもしれない。俺も林に近づく人がいないか、注意して見ておくよ」
さくらは頷いた。
あの二人と話せないのは少し心細いが、もしまたあの場面を見られたら、ますます疑われてしまうだろう。
しばらくは、あの木に近づかないでおくのが賢明だと、さくらも思った。
さくらは、急いで屋敷に入ると、いきさつを祖父に話す。
「私、あの人に何か疑われているのかも…」
「そうかい?わしには、礼儀正しい僧侶に見えたがなあ」
「でも、用心した方がいいと思います。あの人、普通の人には見えないものが見えるって言ってました。桜の木は見えていないようだったけど、何かおかしいと感じているのかも…」
祖父は頷いた。
「分かった。またやって来るかもしれないから、林の様子をよく見ておこう。北斗にもあとで話しておかなければな」
さくらも、険しい表情で頷いた。
夕方になり、帰宅した北斗は、話を聞くなり驚いた声を上げる。
「え、その僧侶って、袈裟を着ていた?」
「ええ。北斗さん、会ったの?」
「いや、昨日車の中から見かけたんだ。今朝も、うちの近くにいた。単に寺巡りでもしているのかと思ったけど、そうじゃないのかもな」
そう言って、しばし考え込む。
「さくら、しばらくあの木に触れるのは控えた方がいいかもしれない。俺も林に近づく人がいないか、注意して見ておくよ」
さくらは頷いた。
あの二人と話せないのは少し心細いが、もしまたあの場面を見られたら、ますます疑われてしまうだろう。
しばらくは、あの木に近づかないでおくのが賢明だと、さくらも思った。



