「お帰りなさい!」
「ただいま、さくら」

夕方になり、帰ってきた北斗をさくらは玄関で出迎える。

「北斗さん、今夜はね、ウッドデッキでお花見しながら夕飯食べましょって、おじいさんと話してたの」
「へえ、いいね!」

ネクタイを緩めながら、北斗はさくらに微笑む。

「それでね、たくさんお料理作ったの!居酒屋さんもびっくりよ」
「ははっ、それは楽しみだな」

子どものようにはしゃぐさくらの様子に、北斗は目を細める。

(楽しそうで良かった。どうかこのまま、何も起こりませんように…)

北斗は、心の中で真剣に祈った。