「急患お願いします。道に倒れていた人を運んできました」

深夜の救急受付でそう言うと、すぐさま診察室に案内される。

「こちらのベッドへ。今、先生を呼んできますね」

看護師が、慌ただしく部屋を出て行く。

北斗は、ゆっくりとさくらをベッドに横たえた。

頬に残る涙の跡を指で拭う。

「さくら…」

小さく呟くと、壁に片手をつき、そっとさくらにキスをした。

「ありがとう。どうか、幸せに…」

そして、北斗は部屋をあとにした。