「おはようございます」

翌朝、北斗と祖父がキッチンで朝食の準備をしていると、さくらが2階から下りてきた。

「おはよう。良く眠れた?」
「はい。お陰様で」
「そう、良かった。あ、朝ご飯持っていくから、座ってて」
「いえ、私が運びますね」

さくらは、トレイを持ってダイニングに行き、テーブルにお皿を並べていく。

「じゃあ、食べようか」

三人で、いただきますと手を合わせた。

「え、病院に?」

食事の手を止めて、さくらが顔を上げる。

「ああ。昨日斜面を滑り落ちた時に、どこか怪我したかもしれないから」

北斗がうつむいたままそう言うと、さくらは戸惑ったように首を振る。

「いえ、どこも大丈夫だと思います」
「まあでも、念のためにね。それに、外の景色を見て何か思い出すかもしれないし」

さくらはしばらく考えてから、小さく頷いた。