愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~

ソフィアに許してもらうためには、
自分の身の潔白を証明しなければならない。
幸い、証拠となる写真は自分が持っているから問題ない。
詳しいものに確認したところ、
写真が現像できるのは1回のみで複製する技術はまだないらしい。
それを確認してほっとした。

だが流出は止められても、
カーレンベルク侯爵令嬢の口を封じることはできない。
あれから半年以上経つがカーレンベルク侯爵家から特段アクションはない。
もし妊娠していれば責任を取れなどと言ってくるはずだ。
それにエルマーにはカーレンベルク侯爵令嬢と身体の関係はなかったという
確信を深めていた。
あの日宿泊していた大使館邸の守衛に確認したところ、
エルマーは深夜2時ごろに帰ってきたというのだ。
マスカレードがお開きになるのは深夜0時半ごろ。
それからパブに移動して吞んでいるのだから、
とてもじゃないが計算が合わない。

何か彼女を黙らせる手立てはないか。
そう思ったエルマーは探偵を雇ってユリアーネの身辺を調査することにした。
探偵の調査結果はエルマーを十分に満足させるものだった。

「俺も人のこと言えないけど、そっちも相当な遊び人だな。」
やれやれとエルマーは首を振る。
ユリアーネは他人の恋人を寝取るのが趣味のようだ。
他人のものを取ることで自尊心が得られるのか。
理解に苦しむが、
婚約者のいる男性を誘惑して寝取り、
破局に追い込まれたカップルが何組もいるそうだ。
探偵はご丁寧に現場写真まで撮って来てくれていた。
(カーレンベルク侯爵令嬢、お返しをしてあげるよ。)