愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~

エルマーは混乱していた。
自分は何かソフィアを怒らせるようなことをしてしまったのだろうか。
毎晩のソフィアとの2人きりの時間がエルマーの癒しだった。
どんな話でもソフィアとなら楽しい。
国王の側近として気を張り詰めて過ごす毎日の中で、
ありのままの自分を受け止めてくれるソフィアの存在は何物にも代えがたかった。

先日、自分の誕生日にプレゼントを贈りたいと
ソフィアが言ってくれたことは
本当に嬉しかった。
自分からしてみれば、そこにいてくれるだけで十分なのに。
誕生日だからとついつい欲が出てソフィアの唇を奪ってしまったが、
後悔なんてしていない。
というかむしろ足りないくらいだった。

それなのに。
ソフィアが突然来なくなったのだ。
最初は体調が悪くなったのかと心配したが、
女官長にそれとなく聞いてみるとソフィアはいたって元気だという。
今日も変わらず働いているらしい。
ソフィアが病気などしていなくて良かったと思うと同時に、
じゃあなんで来ないんだという疑問が湧いてくる。
しかしソフィアに会おうにも、
最近はソフィアになかなか会わない。
いつもなら1週間で2度ほどは日中も見かけていた。