愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~

このマスカレードからほどなくして、
シュトラウス公がこの世を去る。
そしてその半年後にシュトラウス公の彫像が王城に設置され、
エルマーは正式にシュトラウス公爵位を襲名した。

あの写真を見せようにもソフィアがあまり姿を見せないので、
ユリアーネは手をこまねいていた。
そんなとき、友人の1人からある噂がもたらされる。
それは夜な夜なエルマーが王城の廊下を歩いているというもの。
ここ最近毎日だそうだ。
噂の真相を確かめるべく、ユリアーネは下男にすぐさま調査を依頼した。
下男によると、
エルマーは毎晩ソフィアと密会しているらしい。
エルマーの祖父ヨーゼフ・シュトラウス公の彫像付近で
1時間ほどこっそり会っているとのことだ。
(あの小娘、抜け駆けしようったってそうはいかないわよ!)

やっとのことで捕まえたソフィアにユリアーネは例の写真を見せる。
案の定、ソフィアは顔を真っ青にしていた。
しっかりとくぎを刺しておいたので、いい加減大人しくなるだろう。
ユリアーネはそう高を括っていた。