それが今はどうだろう。
どよーんと沈んだ表情で
ハンナと目を合わそうとしない。
（シュトラウス公爵様と何かあったのね。）
ハンナは直感した。

「無理には聞かないけど、辛いことがあるなら話してほしいわ。誰かに聞いてもらえたらスッキリするものよ。」
ハンナの言葉にしばらく黙っていたソフィアだったが、
やがてポツリポツリと話し始めた。

話し終えたソフィアを
ハンナはギュッと抱きしめる。
自分は同じく平民出身の役人と結婚したから、
貴族社会の身分違いの恋は
よくわからない。
でも貴族だろうと平民だろうと
恋が苦しいものだというのは
変わらないのだろう。

「この写真が本当だとして、ソフィアはエルマー様のことを嫌いになった？」
「ううん。嫌いになんかなれないわ。」
「事実と真実って時に異なるものだと思うの。この2人がキスしたことは事実なんでしょうけど、なんでこうなったのかっていう真実はソフィアが思っているものと違うかもしれないわ。」
「どういうこと？」
「それは・・・ご本人に直接聞いてみるしかないでしょう。」
ハンナの言葉にソフィアは押し黙る。
もしかしたらという希望を感じたのも確かだが、
だからといって2人の前に立ちはだかる身分差という壁は越えられない。