「どういうつもりかというと、私たちは…」
「ただの幼馴染ですとかいう答えは聞いてないのよ。」
ソフィアの声を遮るようにユリアーネが声をあげる。

「毎晩毎晩、エルマー様とこそこそ会ってるそうじゃない。」
憎しみをこめたような表情でユリアーネはソフィアを睨みつける。
おそらくユリアーネはエルマーが好きなのだろう。
侯爵家の令嬢であればエルマーとも家格が十分につりあう。
きっと父親を通じてエルマーに縁談を申し込んでいるに違いない。
「やだ、夜な夜な逢引してるってこと・・・？」
「公爵様を誘惑するなんてなんて卑しい女なのかしら」
ユリアーネの取り巻きたちが追い打ちをかけるように
ソフィアへ侮蔑の言葉をかける。

毎晩会っていたのは事実なので、
ソフィアは何も言い返すことが出来ずスカートの裾を握りしめていた。
「毎晩、毎晩アピールご苦労様だけど、エルマー様はあなたに微塵も興味ないから。今日は釘を刺しておこうと思ってきたの。」
そう言ってユリアーネはニヤニヤと笑いながら1枚の写真をソフィアに渡した。
その写真を見たソフィアは思わず絶句する。
写っていたのは顔を赤らめながらキスをかわすエルマーとユリアーネの姿だった。
ユリアーネの頭と腰にエルマーの腕ががっつり回されているので、
挨拶で行う軽いものではないことは明らかだ。