まるで恋愛ドラマのワンシーンのようなこの光景に、静音は涙を流しながらカメラを構え、シャッターを切る。パシャリとシャッター音が静かな廊下に響いたものの、二人は何も気付いていない。

「バイバイ、私の大好きな一……」

どこかぼやけたレンズ越しに一を見つめ、静音は呟く。胸は痛い。涙は止まらない。だが、幼なじみが自分の恋に気付くことはなく、それどころか振り向くことすらない。

「バイバイ」

またそう呟き、静音はシャッターを切る。レンズには、静音が今まで見た中で一番素敵な笑顔を見せていた。