「……っあ、うん」


何も気にしていないよ、とでもいうように平然を装って席を立つ。
気づかれないように深呼吸をして、歩き始めた真紘くんの後ろをついていく。

その間も真紘くんはいつも通り。
それに反して過剰に気にしてしまう私。
ちらりと真紘くんに視線を移すと、どうした?と笑顔を向けてきて。
また、恥ずかしくなる。



学校を出て家までの道のりを歩いている時も、真紘くんはずっと話しかけてくるけど、私は曖昧な返事をしては聞いていない。


「……お」

「……」

「美桜」

「…ひゃい……っ!?」


呼びかけられていることにも気づかず、驚いて声が裏がえる。
……〜〜っ、恥ずかしい……っ!!
噛んだことの恥ずかしさから、かああと熱が顔に集中する。


「……大丈夫?」

「え、あ、うん……ごめん……」


真紘くんは不思議そうな顔をして私にそう聞いてくるけど。
……大丈夫じゃないです。貴方のせいなんですけど……?