「……なんで一人で行ったんだよ」
「え……っ?」
「危ないだろ。俺でもいいし、桜でもいいから誰かと一緒に行けよ」
「で、でも……」
こんなことに、なるとは思わないじゃん。
誰も私には話しかけてこないと思ってた。今までも表情筋のせいで話しかけられてこなかったんだから。
「でもじゃない」
「な、南朋のところに行くだけだったんだよ……」
「それでも、心配なんだよ」
……心配?心配してくれたの……?
真紘くんの顔を見たくて、顔を上げると悔しそうな顔をしている真紘くんがいて。
初めて見た表情……。
「…お願いだから、もっと自覚してくれ」
「自覚……?」
「……危機感持てよ」
「え……?…っ、わっ」
急に身体が離れたかと思うとグイッと強引に身体を動かされ、気づいたら私は近くにあった机に上半身押し倒されている。
その私の上には、見下ろしている真紘くん。
有り得ないほど心臓が騒ぎ始める。

