不思議なことに、さっきまでの震えは収まっている。でもやはり怖かったのは事実で。
真紘くんに身を任せるように、力を抜いてそのままもたれかかった。
「お前…二年の、柚希真紘……?」
さっきまでの威勢はどこに行ったのか。絞り出すような間抜けな声を出した先輩達。
…そりゃそうだ。
さっきの彼はみんなの知っている"爽やか王子"ではなかった。どちらかというと"腹黒王子"だ。
ちらりと真紘くんを見ると、さっきの怖かった表情とは変わってニコニコ笑っている。
……怖。
「美桜に、なにか用ですか?」
穏やかにいつも通り話す真紘くん。
「は…?いや、俺たちは」
「なにか、用ですか?」
「…なっ」
真紘くんからの問いに答えようとしたのを、真紘くんからの圧で止められてしまう。
完全に小さくなった先輩達の声が後ろから聞こえて、真紘くんすごいと思ってしまう。
…真紘くんの笑顔が逆に圧になってる。

