「美桜の表情はたまにしか変わらないけど、目はいつも優しいよ」
「…目?」
「そう。美桜の視線は今も微笑んでくれてる。こんなこと美桜には言ったことないけどね。ずっと思ってた」
美桜の考えていること俺はわかるよ、と言った南朋に私は固まる。
……私の目は、感情が籠っているのかな。
なんだか、嬉しくて、今自然と口角が上がった気がする。
「やっぱり俺の妹はかわいいなあ」
「……ありがと」
……また、いつも通り。
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あれから、2日経って。
朝早く起きてリビングに向かうと、いつの間にか帰ってきていたお母さんが、今から家を出ようとしているところだった。
「あら、おはよう美桜」
「お母さんおはよう」
スーツをピシッと着て、高いヒールの靴を履いているところ。
「ごめんね美桜、今日も遅くなるけど」
申し訳なさそうにするお母さんに、大丈夫だよと返すとお母さんは綺麗な顔で笑って行ってきますと言い出ていった。
しばらくして2人分のお弁当を作り終わり、壁に寄りかかる。
ふぅ……とため息をついて無意識に頭を押えた。

