「なに、姫宮さん。邪魔しないでくれる?」


そんな桜に柚希くんは周りには聞こえないぐらいの声でワントーン下げてそう言った。
……え?ん?
どういう状況、これ。柚希くん、目が笑ってないんだけど。桜怖がっちゃうんじゃない……?

ちらりと桜を見ると、


「こっちのセリフなんですけど?」


まったく怖がっていないどころか慣れている。
…え、なに、本当にわからない。
もしかして桜は柚希くんの本性知ってるの……?いや、でもそれはなさそう……?


「俺、今美桜と話したいんだけど。姫宮さんは関係ないよね」

「私は美桜ちゃんの友達だから関係あるよ!」

「俺は友達よりも上の存在だよ?」

「そんなわけないでしょ!調子に乗らないで」


……わあ。わあ。
まったくこの二人の会話についていけない。
なんか、すごく仲良いのかな…?


「あ、あの……?」


目の前の二人にそう声をかけると二人とも会話をやめてバッとこっちを向く。