「おはよう、美桜」

「…え」


違う。私が驚いたのは挨拶されたことじゃなくて。
……学校でも、名前呼び……??
それを聞いて周りの女の子たちは騒ぎ出していて。


「まってまって!!名前で呼んでるんだけど!!」

「あー、もうあの2人推すわ」


なんて声が聞こえてくる。
でもそんな声は気にせず柚希くんは私の反応を楽しんでいるのか、私にしか見えないように昨日と同じ意地悪な顔をした。

……っ!!!

じわじわと顔が赤くなっていくのがわかって、フイっと顔を逸らす。


「…おはよう?美桜」


そんな私に気づいたんだろう。
また、楽しむように挨拶してきた。


「…っ、おは、よう」

「ふっ、うんおはよ」


挨拶を返した私にニコリと笑って満足した様子。
もう、どうしよう……私なんかおかしい。


「…柚希くん。美桜ちゃんからかうのやめてくれる?」


そんな時、横から聞こえてきた桜の声。
その桜の声は、人見知りとは思えない。