どう頑張っても気づけば斜め後ろを歩いていた私に、振り返って話しかけてくる柚希くん。
すると、柚希くんは私の手をぎゅっと握りグイッと引っ張ってくる。
「…っちょ、」
……ひ、人がいないからって……っ!
さっきよりも距離が近くなりまたドキドキと心臓が鳴り始める。
「はい、確保」
熱を帯びた目をして意地悪そうにニヤリと笑う柚希くん。
…っ、心臓がうるさくておかしくなりそうになる。
少し距離をとって、手を離してもらおうとするけど、その手はさらにぎゅっと力が入る。
「……逃がさねえよ」
低くそう呟いた柚希くんはいつものように笑っていなくて、危険な雰囲気。
でも怖さはなくて、ただただ身体が熱くなって心臓が壊れそうになり。
……この人からは、逃げられない、と思った。