……まあだいたい予想はしてた。
「……わかりました」
断る理由もないしそう返事をすると、ありがとうと言い笑顔で去っていく先生。
でも、これは……
「…多」
資料室に向かう廊下で教材を抱えながら1人つぶやく。
さすがに多くないかな。私女なんだけど。
地球儀と地図が無駄に大きいから、前が見えづらい。
桜は部活だから手伝ってもらえないし、私ひとりできたけど。
1つずつ持ってくればよかった。
────フラッ
前が見えず歩いていたからか何も無いところでつまづいてバランスを崩す。
「…っ」
「はい、ストップ」
倒れてしまうのではないかという時、タイミングよく誰かが支えてくれて。
相手の顔を見ようとする前に私の持っていたものはヒョイッと取られた。
「宇原さん、俺に頼ってって言ったよね」
「ゆ、柚希くん……?」
教材を持ちながら少し困ったような顔をした柚希くんがそこにいた。

