クラスメイト達のそんな声に反応したその男は。
「みんなおはよう」
と高すぎず低すぎずの声を発する。
それに、クラスの女子は「きゃ〜っ!」と高い声を上げクラス中をさらに賑やかにした。
柚希(ゆずき)真紘。
彼はこのクラスの人気者で、王子様とも呼ばれているらしい。
いつも穏やかに笑顔で話す柚希くんは、私とは住む世界の違う人。
まあ確かに、顔は整っている。南朋と同じぐらいに全学年から人気があるらしいし。
「真紘くんって、爽やか〜って感じするよね。本当にかっこいいっ」
「例えると、レモンスカッシュ!」
……なんだそれ。
周りでおかしな会話をしている女子に心の中で思わずツッコミを入れる。
窓から反射して見えるたくさんの男女に囲まれた柚希くんのその姿は、確かに爽やか系男子だ。
囲まれていても嫌な顔ひとつせず、人懐っこい笑みを浮かべている。
正直興味はないけれど。
「おーい、席つけー」
また教室のドアが開いて先生が入ってくるから、仕方なくみんな席についた。

