でもしょうがない。
小学校の頃からずっと無表情だったから。笑うことは、あまりなかった。

荷物を整理し終わり、机に肘をついて窓の外を見る。


「宇原さん顔がいいもん。高嶺の花って感じ」


途切れ途切れに小さく聞こえてくる話し声。


顔、か。

宇原美桜の顔は独特。
人と距離を置くようになったのは、小学校の時にそう言われたときからだったっけ。


『宇原の顔ってなんか変だよな!目でっかいし、肌めっちゃ白いし、なんかすごいな』


私の顔は、変らしい。
そう言われた時から、人前で顔をさらけ出すことに抵抗を感じ始めて、いつの間にか笑わなくなっていた。


私の顔が変だから、こんなにも周りから注目されているのだろうか。
だったら、酷い話ね。

ひとつ、ため息をつく。


─────つまらない。

友達なんて、いないから。みんなにとって高校生活は青春なのだろうけど。
私にとっては退屈でしかない。勉強して、帰るだけだ。