ここまで来たからには一応、音楽室見よう。

そのまま足を進めて、音楽室の前に来た時。
中から物音がして、ピタッと足を止める。

……誰かいるの?


そう思って、教室の中を覗いた私は後悔する。


「……っ…?」


教室の奥の方にいたのは間違いなく……桜と真紘くんの姿だった。
思わず声に出そうで、口を手で塞ぐ。

なんの話しをしているのかはわからない。
呆然と見ていると、二人が笑顔で話し始めていて。
ズン、となにか重いものが私の心に、頭に落ちてくる感覚。

……っ、なんで。あんなに楽しそうなの。
遠くから見ているからかもしれないが、距離も近く見える。
なかなか教室に来ないと思ってたら、二人で話していたの……?どういうことなの……?二人は……どういう関係なの?

真っ黒な感情が心に襲ってくると同時に、なにかが込み上げてくるような感覚になる。
……やだ、なんでこんな気持ちになるの。

離れたい。早くここから。そう思っているのに、足が動かない。