な、なんかよくわからないけど……嫌な気はしないから。
しばらくすると、あっという間に教室に一人になる。

……真紘くん、どこに行ったんだろう。
席を立って廊下を除くけど、真紘くんはいなくて。
もう少し待ってみようかな。それでも来なかったら……探す?

また席に戻って真紘くんを待つことにした。


「……遅いなあ」


それからまたしばらくしても真紘くんが来なくて、そろそろ探しに行こうかと思った時、ガラッと教室のドアが開いた。


「…あ、宇原。まだいたのか。ちょうどいいところに」

「……え」


クラスの担任が教室に入ってきて、私に話しかけてきた。
真紘くんじゃなくて少しガッカリしてしまう。


「佐野(さの)先生見つけたら俺が探してたって言ってくれね?なんなら佐野先生のこと探してくれね?」

「え……」

「めんどくさいとか思ってる?お願いだよ〜」

「……」


なんなんだこの担任……。
佐野先生は音楽の先生で私のクラスの副担だ。
私の返事を聞く前に、じゃあよろしくって教室を出て行ってしまって。
ひとつため息を吐いた。