みんなが教室を出て帰っていく中、私は真紘くんを待つ。
教室にはいなくて、どこに行ったんだろうと不思議に思っていると。


「話しかけようよ……っ!」

「まってまって…っ、緊張する」

「せーので行こ?!」


近くからヒソヒソとクラスの女の子が話している声が聞こえる。
……どうかしたのかな。誰に声掛けたいんだろう。
でも私には関係ないことだから、と思って気にしないことにする。


「う、宇原さん……!」

「…え?」


私には関係ないと思ったのに、女の子達が呼んだ名前は私だった。
驚いて振り返ると少し頬を赤く染めている女の子三人がいて。


「あ、あの……」

「……私になにか?」

「…さ、さようなら……っ!」

「え……?」


そう、一言だけ言って去っていった三人に呆然とする。
さようならって……私に言ったの?バイバイってことだよね?
初めてのことに驚きでしかなかった。人に話しかけられるとは思っていなかったから。