真紘くんの名前を呼ばれて、私はパッと桜から目を逸らした。
……見れない。もしかしたら真紘くんのことを好きかもしれない人なのに。
「……そっかあ」
「…?」
「美桜ちゃん?私が美桜ちゃんの一番の友達だからね?」
「え……うん」
声のトーンが変わっていない桜の声に、桜の方を見る。
桜は笑っていて、私を見ていた。
……私の勘違いだった……?
「それだけ覚えといてね!美桜ちゃんは私の恩人様だから……!」
「恩人……?」
「そうだよ!美桜ちゃんが私を助けてくれた時から私、美桜ちゃんのこと憧れてるんだから」
「私そこまでのことしてないよ」
桜の目は動揺している様には見えない。
やっぱり私の勘違いだったのかも、と少し安堵する。
その時、四時間終了のチャイムがなって、クラス中がさっきよりもザワザワしだした。
そのまま桜とお昼を食べて過ごし、あっという間に放課後になった。

