視界がグラグラしてきて、どうしよう、と思ったその時。
─────ふわっ
急に目の前に影ができたと思ったら上から被せられた制服のブレザー。
え?と思いゆっくり上を見上げると、
「宇原さん大丈夫……!?」
……焦った顔をして私を見つめている、柚希くんがいた。
ああ、最悪だ。人に頼りたくはなかったのに。
「ちょっとごめんね。……熱っ」
私と同じように目の前でしゃがみこむと前髪をサラッと上げておでこを大きい手で触られた。
「……冷たい、気持ちいい」
その手は私の体よりも冷たく感じて、少し安心する。
目線を上にあげて柚希くんを見る。
……綺麗な、顔。
その顔は私を見て目を見開いていた。
……私が喋っただけでそんなに驚く?
「……寒いでしょ、上着着ていいよ。」
「…うん」
「ふっ、素直だね。いい子」

