爽やか系イケメンの本気。




部屋の椅子に座り、メイク道具を準備する。
……メイク普段はしないから、軽くでいいかな。

日焼け止めを塗って、眉毛を描く。眉毛は描くと言うより色をつけてるだけだけど。
濃くないアイシャドウを瞼にのせて、目立ちすぎない短めのアイラインを引く。
ちなみに、ほぼ全部お母さんから借りたものだ。許可も取ってある。
まつ毛を上げるだけで印象がガラッと変わって思わず「…すご」と声を出してしまう。
薄く色付くリップを唇に乗せて、鏡をもう一度見る。


……気合い入りすぎかな?急にメイクしてきたら引いたりするかな……。でも、自分の顔がコンプレックスだから少しでも可愛くいたいし。

まあ、これでいいかと思い席を立つ。
メイク動画はたまに見るから、メイクの仕方はなんとなくわかる。なんとなく、ね。

20分ぐらいで終わり、あとは髪の毛だけだと思って部屋を出ると、


ガチャ。


と近くのドアも同時に開いた。ひょこっと顔を出すと、


「あ、美桜。おは………は?」


眠そうな顔をして立っていた南朋が、私を見て固まった。