そんな女子達の後ろ姿をじっと見つめていると、
「…あ、あの……っ」
後ろからは震えた高い声が聞こえてハッとする。振り向くと、焦ったような顔をした姫宮さんが私を見つめていた。
「う、宇原さん…っご、ごめんなさい……っ、私のせいで」
泣きそうな目で私にそう言う姫宮さんに、
「…別に。姫宮さんは濡れてない?」
「わ、私は大丈夫だけど宇原さんが、」
「私はこれから帰るし。姫宮さんは部活でしょ。早く行きな」
確か、部活入ってた気がする。美術部だっけな。
震えている姫宮さんを見ても、私は笑って安心させることが出来ない。
だから、大丈夫だよと言うしかない。
「…っ、ごめんね」
名残惜しそうに、去っていった姫宮さんをその場で見届けて1人になる。
壁にもたれ掛かりズルズルとしゃがみこむ。
「…っ、ケホッ」
咳が出る。すごく寒い。濡れた髪が首に張り付き、雫が余計服を濡らし、悪寒がする。
───これ、やばいな。悪化してる。

