「…へ、変なこと言わないで」

「真面目だけど」

「はぁ……っ!?」

「そんな照れんなよ」


意地悪くニヤニヤと私を見つめる真紘くんに、心臓の音が加速する。
もういい……っ食べる……。
一旦落ち着け、と深呼吸をして食べることに集中した。


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「南朋先輩に服借りたこと言うなよ」

「…え?」

「俺消されるかもだから」

「け、消す……?」


ご飯を食べ終え、真紘くんは乾いた昨日の自分の服に着替えて一度家に戻ろうと外に出る。私はそれのお見送り。
消されるっていうのはよくわからないけど、さすがに私も言えないなとは思ってたから二人だけの秘密にすることに。


「あ、真紘くん。これ……」

「……え」

「お弁当作ったから、もし良かったら食べて」

「っ、まじ……?」


差し出したお弁当を受け取る真紘くんは本当に驚いていて。
少し笑みがこぼれる。


「昨日はありがとう。また学校でね」

「……ずるすぎだろ…帰りたくなくなる」

「……それはだめ。帰ってから学校きてください」


昨日私色々恥ずかしい姿を晒してるな、と思う。
渋々帰っていく真紘くんの後ろ姿を見つめながら、本当はまだ一緒にいたいと思っている自分がいることに驚きはしなかった。