「はっ、なんも喋んないじゃん」


歪んだ顔でそう言った1人の女子。
そういうと近くから水道のホースを持ってきていて。


「……っ、」


私は近くのドアから上靴のまま外に出てそこに向かう。

その間に、女子3人は水道をホースに繋げていて、姫宮さんに向けた。

私は無意識に走っていて。


「綺麗にしてあげるよ」


そう言って蛇口を捻った時には女子3人と姫宮さんの間に私が入っていて。


────バシャッ。


「……は、?」

「…っ、え?」


水を掛けられたのは、私だった。
その状況を上手く理解出来ていないのか、女子3人は後ずさり間抜けな声を出している。
後ろにいた姫宮さんからも、困惑した声が聞こえた。

ポタ、ポタ、と私のロングの髪からは雫が落ちて。


「…なにしてんの」


そう発した私の声は、いつもよりも低く落ち着いていた。
水に濡れた前髪の隙間から目の前の女子達を睨むと、ひっ、と声を出して逃げていった。