「…確か、姫宮桜(ひめみやさくら)って子」
囲まれて怯えている女の子は同じクラスの子だ。
姫宮さんも、いつも1人でいる。
「大人しいくせに男に色目使ってんじゃねぇよ」
「男好きだったりする?やめてよぉ〜」
……なるほど。
姫宮さんは、ひそかに人気な女の子で。
天然のフワフワした色素の薄い髪の毛に、ぱっちり二重の大きいタレ目はうるうるしていて。筋の通った形の綺麗な鼻に、ぷるぷるの血色のいい唇。
かわいい女の子の模範みたいな子。
でも、人見知りなのかあまり人と話しているところは見たことないし、ましてや男の人と話しているところも見たことがないから。
この女子3人が言っていることは、ただの嫉妬が産んだ決めつけだ。
私には全く関係ないけど、ああいうのは嫌いだから。
どうしようかと迷う。
助けたいけど、体調がそろそろやばくて。本格的に倒れそうになってきてるから。
そう思っている時。

