真紘くんは私の頬に手を当てて微笑んだ。


「今二人きりでよかった……。他のやつが見たと思うと俺おかしくなる」

「え……?」


どういう意味だろう…。
でも、真紘くんは絶対教えてくれないだろうし。

すると、私の頬を撫でていた真紘くんのその手は私の首を伝ってポニーテールに移動する。


「……いや、もう既におかしくなりそうだわ」


そう呟くと、真紘くんは私のポニーテールを解き、髪の毛が垂れてくる。
サラッと解かれた髪は一瞬、シャンプーの香りを漂わせた。

なぜか、微笑んでいる真紘くんの瞳にドキドキが止まらなくなる。


「……本当に可愛いね」

「……っ」


また私に可愛いと言ってくる真紘くんに顔が熱くなる。
多分これは、一生慣れない。
でもやっぱり嬉しくて。真紘くんに可愛いと言われることも、久しぶりに笑顔になれたことも。


「真紘くん……」

「ん?」

「真紘くんも、かっこよかったよ」


自然とまた口角が上がり、微笑んでそう言う。


「…それは反則だろ……」


そんな私に、そう声を上げた真紘くんはほんのりと頬を赤く染めていた。