すると、真紘くんは大きなため息をついた。


「まじで、疲れた……」


そう言った真紘くんの顔は、少し不快そうな顔をしていて。
またため息をついている。

疲れて頭痛いってのは、間違ってはなさそう。


「なんであんなにずっと話しかけてくるわけ。口角上げすぎて筋肉痛になりそう」


あ、そういうこと。
真紘くんの言葉に、全部理解する。
そりゃそうだよね。朝から私とのことであんなに囲まれて、体育でもずっと囲まれてみんな真紘くんをかっこいいかっこいいって言ってて。

やっぱり、疲れるものだ。偽っているものなら余計に。


「俺がかっこいいのはわかったから、もうそっとしといてほしい」

「……」

「ていうか、なんであんなみんな美桜のこと見るわけ?」

「……ふっ」


真紘くんは、自分でかっこいいことは分かってるからと言ってブツブツ文句を言ってて。
なにか、知らない感情が込み上げてくる。


「……っ、え」

「ふふ……っ。大変なんだね……っ」