そんな柚希くんを横目で見ては思う。
ふぅ、と立ち上がりスクールバッグを手に持つ。
はやく、帰ろ。
フラフラする。でも周りに悟られないように慎重に歩く。
どこに行っても感じる視線は、いつもは気にならないのに今日は不快だ。
……人が少ないところ通ろう。遠回りになっちゃうけど、しょうがない。
教室をでて、みんなが向かう方向とは逆方向に足を進める。
2年の教室は2階だから、1度階段を降りなければならない。
あまり使われない階段を選び、手すりに手を付きながら降りた。
1階の廊下を通り、遠回りで下駄箱まで向かおうとしたその時。
「きゃははっ!!」
「ねえ、ほんとうざいんですけど。」
どこか遠くで、そんな声が聞こえる。
……うるさいな。
辺りを見渡すと、その声の場所は外みたいで。
普通は人目につかないような場所。そこでうるさい声の原因である女子3人ぐらいと、その女子に囲まれて壁まで追いやられた女子1人。

