「美桜はさ〜」


それから家を出て学校までの道のりを歩く。
南朋の話に耳を傾けていると私の名前を出すから、どうしたの?と返事をする。


「今、楽しい?」

「え?」

「……いや、すごく楽しそうに見えるなって」

「……」


突然、そんな問いを投げかけてくるから困惑してしまう。
……考えたことなかった。
確かに、今までとは違う生活を送っている。なんだか心境の変化もあるような気がするし。
楽しそうに見える、か。

……うん。そうなのかもしれない。


「……楽しいんだと、思う」

「うん。そっか」

「なんだかね、最近変なの。知らない気持ちばっかり」

「うん」


知らない……こんな気持ちになること初めてなの。
そう言った私に笑顔で頷いてくれる南朋。
その南朋はすごく嬉しそうで。
私が自分の気持ちを話すのが珍しいからだろうな……。


「俺、美桜が楽しそうだと嬉しいよ。今の俺は幸せな気分」

「……幸せ、」