いつも通りの朝。



2年2組と書かれた教室のドアをガラッと開けると、クラスメイトの喋り声がピタッと止みこちらを振り向く。
そして、また教室に賑わいが戻る。



「あ、宇原さんだ」

「うわぁ、やっぱり目おっき、顔ちっさ、肌しっろ」



小さい声で私の方をチラチラと見ながら話す声。
何を言っているのかまでは聞こえないけど、こんなことはもう気にならなくなった。



これが私、宇原美桜(うはら みお)の日常。



男女問わず、私の方を見てお喋りを楽しむ割には誰も私に声をかけてこない。

そして、いつも通り窓側の自分の席に座り荷物を整理する。



「でもやっぱり、ちょっと怖いよね」



賑やかな教室の中の近くから聞こえたひとつの声。

わかってる。私が怖がられていることぐらい。
高校上がった1年前の時から、私はずっと1人だった。
きっと、この表情筋のせいだ。