「えいっ!」
丸く形を作った大きめの雪が、文句を言っては眺めていた早乃助さんの顔面に当たった。
ふっ、よくやった朱花。
「やった!ごめんください!」
「………なんだこのクソガキは。よーし、お兄さんを怒らせたら怖いぞー」
「わっ!桂も一緒に遊ぶっ!?」
「うん遊ぼう。とりあえず顔面にね?ひとついいかな。ひとつでいいからお願い朱花、ほんとお願い」
「ふふっ、やーだっ」
「やだじゃないのー、わがまま言わないのー」
さすがに俺も草履を履いて庭へ出る。
そんな朱花は……裸足だ。
外へ出るときは必ず草履を履けと言ってはいたが、どうにもまだ癖が抜けないらしい。
「えっ、なに、尚晴は朱花派?」
「当たり前です」
「んじゃあこっちはノブちゃん呼んじゃおっかなー。いいんだね?おーーい、ノブちゃーーん」
定着してしまった、その呼び名。
朱花が見廻組の屯所に居なかったときにあった、それぞれが抱える張り詰めた空気感は。



