奈落の果てで、笑った君を。





「わあっ、回ったね!」


「…ああ。これだけでも楽しいんだな、朱花は」


「うん!尚晴は?楽しくない?」


「…俺も楽しい」



ずっと、もっと、一緒にいられたらいいな。

今日はたくさん歩いたり走ったりしたから、きっとまた風邪をぶり返したに違いない。



「尚晴、その子かい。君が助けてきた子というのは」


「……佐々木、さん」



見廻組屯所───そう書かれた建物のなか、足を踏み入れてからほんの数秒。

物静かでありながらも緊張に見舞われる空気感と、声色だった。



「はじめまして。私は見廻組与頭の佐々木 只三郎といいます」


「タダサブロ…?」


「さあ話そう。…今後の君の行く末を」



わずかなあいだにも、凝視される。

わたしが首を傾げる暇もなく我こその進度で淡々と過ぎゆく会話。


通された一室、出された茶。


隣に正座した尚晴さえ、ずっと考え込むように厳然たる姿勢だった。