そりゃ土方さんの鬼にも磨きがかかるわな───と、へーすけは力なく笑った。
「ひじかたさんは、どちらさまで?」
「オレたち新撰組の鬼の副長だよ」
「おに?」
「ああ。“これより隊規を破った者、切腹を申し付ける”なんて地獄の規律を作ったとんでもねえ人でさ。
たぶん骨まで残さねえつもりだぜ、土方さんは」
「せっぷくってなに?」
変わらぬ調子で聞いた質問に、そこだけは間合いよくは答えてくれないみたいで。
スッと流し目に一瞬だけ捉えられてから、とうとう教えてはくれなかった。
「お、あそこの饅頭うまいんだよな。食う?」
「…ううん。帰ったら温かいご飯があるから!」
「はっ、そーかそーか」
「へーすけ、へーすけ」
ちょんちょん。
くいっ、くいっ。
お饅頭はいらないけれど、とあるものが先ほどからずっと気になっていた。
「あれ欲しい」
「あー、風車(かざぐるま)な」
「かざぐるまって言うの?あれ欲しい!」



